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久世は気がつくと、見覚えのない部屋のベッドの上だった。
頭がガンガンする。強い酒を何度も煽った後の二日酔いだとすぐに思い至る。
服も下着も何も着ていない。横には西園寺が、これまた全裸で眠っていた。
久世は記憶を辿ろうとしたが、何も思い出せない。
怪しげなクラブの個室に入って、酒を飲んだことまでしか覚えていなかった。酒だけでこんな風になるとは思えないが、なぜなのか理由がわからない。
ハッとして意識を集中させると、下半身に馴染みのある違和感があった。全裸で寝ていたことも加味すると、西園寺とまた寝てしまったということか。この違和感はそれ以外に考えられない。二度と会わないと言って別れたはずなのに……。
記憶にある限りの会話を思い返して、相手が西園寺だけならまだマシか、と考えたことでさらに気落ちした。
のろのろと起き上がり、近くにあったバスローブを羽織ると、おそらくバスルームであろうドアの中へ入った。
栓をひねり、熱いシャワーを頭からかぶる。
雅紀がいるのに他の男と寝てしまった。
しかも相手は西園寺だ。
雅紀の元へ飛んでいきたいのに、俺は何をしているのか。
そう考えて情けなくなり、自分自身に対する怒りが抑えようもなく、壁を殴りたくなった。
「……別にいいけど、挨拶なり普通しない?」
久世は飛び上がるほど驚いた。
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