クラブBootleg

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 久世は感激した。この桐谷(きりたに)俊介(しゅんすけ)という男は、こういう情のある男なのだと思い出した。法務省に務める忙しい身で休みもほとんどないであろうに、その貴重な休日を友人のために使うと言っている。 「俺は行くが、一人でいい」 『おう、わかった。じゃあ、迎えに来て。俺の家はわかるよな? もう準備はできてるからいつでもいい』  そう言って俊介は通話を切った。  久世は迷ったが、頑固な男だからもう一度電話をしても出ないだろうと考えて笑みを浮かべると、俊介の自宅へと向かうことにした。
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