青森

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「ああ。お母さんがお兄さんのいる沖縄に移ったあと、アパートは解約したはずだ」 「じゃあ、どうする? 雅紀はどこにいるんだ? 来た意味ねーじゃん!」  俊介は大げさな素振りで頭を抱えた。  それを見た久世は笑って言った。 「……お前は帰省が目的だったはずだろ」 「……てめぇ」  久世の笑顔を見て、俊介も口角を上げた。 「彼女の住んでいるマンションなら知っている」 「は?」 「相手がその人で間違いないのなら、引っ越していなかったら、そこにいるかもしれない」 「マジ? なんで知ってんの」  久世は答えない。 「うーん、まあ、じゃあ、そこに突撃する?」  俊介がそう言うと、久世は俊介から視線を逸らしてキョロキョロと部屋を見渡し始めた。 「おい! 来たからには行動しねーと」  俊介が注意を引くように声を大きくする。 「……ちょっとだけ、いいか?」 「……なにが?」  その5分後、俊介は唖然とした。  久世がジャケットを脱いでシャツの腕を捲ると、散乱した物をテキパキと片付け始め、見つけた掃除機で隅々まで掃除をし始めた。タオルを絞って上から下へと埃を拭き上げるのも忘れない。  久世は、驚きの目で固まっている俊介に命令して、俊介がわかる範囲でいいからと、脇へどかした物を元の場所に片付けさせた。  二人が熱心に集中して取り組むと、20分後には客を招いても大丈夫であろう程度に部屋が整った。
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