誕生日

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 生田は妖艶な笑みを浮かべると、久世の目の前で口から残りを手に吐き出して、それを自身のところへ持っていき、久世のを潤滑剤にして擦り始めた。  生田の突然の行動に再び興奮を煽られた久世は、生田の頭を抱きかかえるようにしてキスをした。  キスだけで互いの全身を愛撫するかのように舌を絡ませながら、生田は自分で終わらせた。 「……透、おいで」  乱れた衣服のまま、生田は久世の手を引いてバスルームへと向かう。  衣服を全て脱ぎ捨てて、シャワールームへ入ってお湯を頭からかぶる。視線で呼ばれた久世は、それに倣って生田の後を追う。  生田は自分の身体を洗ったあと、丁寧に久世の身体も洗った。そしていつの間にやらコンドームを付けていたそれを、久世の後ろから中に入れた。久世は何も言わずにされるがままで、酔った勢いとでも言うような普段とは違う生田のやり方に戸惑い続けていたが、いつもよりも興奮していた。  生田は久世を気遣うように動きながらも、どこか自棄(やけ)になっているようにも感じられる。後ろを向いているので顔が見えない。久世は快感に酔いながらも案じてしまって気が散漫だ。しかし生田は止まらない。そのまま最後まですると、ようやく久世は生田の表情を見ることができた。果てた脱力感と共に生田の顔にあったのは、涙の跡だった。
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