地獄が

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地獄が

 久世はそれからの二週間、地獄のような日々を送った。  自邸を出た後に瑞希と食事へ行くと、翌日もと無理やり約束をさせられたことを始めとして、目まぐるしく散々にも振り回されていた。  翌日出勤すると、西園寺議員から、西園寺邸から逃げ出したばかりか、自邸へと戻って別の令嬢と食事をしていたと叱責され、次に息子から逃げ出したらただでは置かないと凄まれた。  早速西園寺からかかってきた電話で、西園寺からも同様に怒鳴られた上に、今夜もしクラブへ来なければ、生田の元へ行ってやると脅され、約束せざるを得なくなる。職場を出ると、いつものクラウンではなくベンツが停まっていて、瑞希が笑顔で「お待ちしおりました」と言って、無理やり車に引きずりこまれたばかりか、食事が終わってまた明日もと言う瑞稀を断ろうとすると、久世の父と祖父の名をチラつかせて脅かしてくる。その後クラブへ赴くと西園寺は不在で、マモルと晶と飲むことになり、電話をすると明日は行くから必ず来いという。  その一日が再び同じように翌日も繰り返され、さらにその翌日もと、二週間毎日同じコースだったのだ。  久世は疲弊して、心身ともに参っていた。
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