地獄が

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 が、直前で急に怖気づいた。  コンビニを探してそこへ向かってもらう。  駐車場で待っててもらって、コンビニでウイスキーを買い、レジを済ませて店の外ですぐに一気飲みした。  とてもシラフでいられない。  直前で我に返った久世は、興奮していた頭が冷めてしまった。  また熱くしなければ、とても青森に居られない。もう最終便もない。朝になるまでうろつかなくてはならないのだ。  そう考えて酒を煽り、ふらふらとした足取りでタクシーへ戻った。乗り込もうとして、ふとコンビニの方へ視線を向けたその時、久世は祈ったことのない神に感謝をした。  久世の視線の先にいたのは、コンビニに向かって歩いている生田の姿だった。  偶然というには、ここはみどりのマンションから最も近いコンビニなので、可能性の高い話ではあるが、それでもここで会えるとは考えていなかった。  久世は慌てて運転手に料金を支払って、タクシーから下りた。    歩いてくる生田の方へ、ゆっくりと近づいていく。  生田はスマホを見ながら歩いていて、久世の存在には気がつかない。  久世はあと5メートルというところでまた怖気づいた。  立ち止まり、眼の前を通り過ぎていく生田を目で追った。
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