天国が

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 生田がお茶を出そうとすると、須藤がすぐに帰るからと、それを辞去したので、三人はソファに腰を下ろした。  須藤が緊張した様子で、話を切り出した。 「生田さんは、みどりさんの旦那さんでいらっしゃるのですか?」 「えっ、はい。そうなりますね」 「……ではお腹の子の……」 「はい」  須藤は落ち着かない様子で黙り込んだ。  生田と久世はわけがわからず、須藤の言葉を待っている。 「すみません、みどりさんの身体は大丈夫なんでしょうか」 「はい。もう臨月なのですが、血圧が高くなってしまって、安静にして様子を見なければならなくなりました。自宅よりは病院の方が安心なので、それで入院しております」 「はあ。それは大丈夫ということなんでしょうか」 「えっ? 大丈夫だと思いますけど……」  また無言である。 「須藤さんは、みどりと同僚ということですが……」  生田が須藤の訪問の理由を聞こうとする。 「えっ! いや、あー、何も聞いていらっしゃらないのですね。あ、そうですか。……そう、ですよね。当然だ」  須藤は一人でそら笑いをした。 「……もしかして、もっと親しいご関係でいらっしゃるとか……」  生田がおずおずと聞いた。 「えっ! いやぁ、なんというか……」  須藤の言い淀む樣子は肯定と同じだ。 「それはどういった……」 「えっ! いやぁ……」 「……お付き合いされていたのですか?」 「えへへ。そんな……」  須藤の煮えきらない様子に、生田はだんだんとイライラしてきた。
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