訪問者

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 生田が準備をして出ていくと、久世は何をするでもなくソファに座り、部屋を見渡した。  東京でこの広さのマンションなら相当な金額だろうけど、青森でなら一般的なのだろうか。  築浅で、2LDKのマンションには、バルコニーと言えるほどの広さのベランダもあり、角に位置するためリビングには二面も窓がある。  キッチンはアイランド型で、リビングダイニングは20畳ほどもあるだろうか。  元々みどりが一人暮らしをしていたわりには、家族で住むことを想定していたような広さだった。  まさか須藤と暮らしていたのでは……いや、雅紀が木ノ瀬さんと過ごしていた時期に送ったことがある。その時から既に関係を持っていたとは思えない。  久世は考えながら、チェックをしていなかったスマホを開く。  瑞稀からの着信とLINEが山のようにあったが、深夜2時頃にぷっつりと途切れている。寝たのだろうか?  西園寺からの着信もあった。それは二回ほどで、直前は30分前のものだった。  その時インターホンが鳴った。
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