2 二度目の体温※

2/12
前へ
/82ページ
次へ
晴也が笑っている。驚き過ぎて顔の引き攣りが凄い。転びそうになりながらもベッドから降りてリビングに向かう。いつも通り用意されている朝ご飯──少しだけ違うのは、優しい笑顔で僕を待つ彼の姿がある事だ。 「「いただきます」」 手を合わせ一緒に食事をする。いつもみたいにご飯が喉を簡単に通ってくれない。何となく気まずさで俯いていると「告白の件なんだけど」と突然切り出され、べたに軽く吹き出して咽せる。 「だ、大丈夫?」 「あーうん、ごめん。気にしないで...」 なんだか昨日から完全にペースを乱されている気がする。口元を拭いながら「告白ね、うん」と返すと、彼は長い睫毛を伏せて口を開く。 「その....告白の返事が欲しい訳じゃないんだ。ただ気持ちを伝えたくて言っただけだから。この生活を送れているだけで充分だし、これからもこれ以上変えるつもりはないよ」 「ぇあ、そう...なの?」 告白の返事、そういえば僕告白されてたんだった。色々あり過ぎてすっぽ抜けていたけど、そう...返事しなくていいのか。....何で? 「これからも変えないって言ってるけど....その、一緒に暮らしてるのにずっと他人行儀だから、せめて番らしく生活したいんだけど」 「あぁ、言っていたね。番らしく...恋人っぽく、みたいな?」 「そうそう、恋人──」 自分で言って、ん?と一人とどまる。恋人っぽく...世の中の番はお互いが好き同士だから成り立っているものだから、そうか。本来そうなんだ、番になる迄の過程って。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

291人が本棚に入れています
本棚に追加