3 意識してしまう

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無意識にそう問い返してしまっていた。 「物凄く焦ってたよ」と困った様に笑う彼女。僕の知らない彼の事を客観的に聞くだけで、なんで胸がざわつくんだろう。 「『ヒートで倒れたって...そんな連絡なかったのに』って言った後、私が口を開こうとした時には電話が切れちゃって。無事ヒートを乗り越えられたみたいで良かったよ」 「あ....」 彼とのえっちを思い出し、カーッと真っ赤になる自分。流石に分かりやすかったせいか、ピクッと反応した彼女が「ゆうちゃん、顔真っ赤」とびっくりする。思い出して恥ずかしくなり、それ以上何も言えなくなっていたその時、遠くから「祐樹」と声がし、我に返る。顔を上げると、此方に向かって歩いてくる晴也がいた。そのまま席迄来ると、目の前の彼女に向かって深く頭を下げ「祐樹を助けてくれてありがとう御座います」と口を開いた。 「あの時貴方が電話をしてくれなかったら、祐樹は更に長く苦しむ事になっていた。本当にありがとう御座います」 「い、いやいや、私はそんな....えっと、....」 突然お礼を言われて混乱する蘭華。名前が分からずオロオロと自分の方を見ているのに気付き「あ、この人が..」と立ち上がると、晴也が僕を制して続ける。
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