3 意識してしまう

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「お待たせ致しました。フルーツパンケーキのお客様とオムライスのお客様」 そうこうしている間に僕と蘭華の注文したものが届く。晴也が「気にせず先にどうぞ」と言うと、彼女はチラリと僕に目線を送った後「頂きます」と手を合わせて早速口にする。僕も無言で隣に置いてあった蜂蜜ソースをたっぷり掛ける。隣の晴也がパンケーキをじーっと見つめながら「祐樹」と口を挟んでくる。 「凄く甘そうだね....祐樹はこういうのが好きなの?俺、結構普段から野菜多めのご飯ばかり作っていたけど、もしかして嫌だったりした...?」 「ぶはっ」 僕より先に蘭華が咽せる。 笑いを堪えきれず吹き出したみたいで、「お、お母さんと子供...!」とケラケラ可笑しそうに笑っている。僕は料理が皆無、というか家事全般苦手だから常に晴也に頼りきりだ。ムッとしながら「嫌とかじゃ全然ない!」と荒々しくパンケーキを口に運ぶ。 「野菜は苦手だけど晴也が作るご飯は全部美味しいから野菜出ても気にした事ない。甘い物はたまに一人でカフェに行くくらいには好きってだけ──って何...二人とも」 明らかに二人の表情が変化していた為、思わず動きを止めて彼等を見る。晴也は頬を紅潮させ、蘭華も笑いを堪える様に机を軽く叩いている。「.....美味しいなら良かった」と照れくさそうに言う彼の言葉で、自分がさらりと言った発言に気付き顔が赤いのが移っていく。
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