3 意識してしまう

7/13
前へ
/73ページ
次へ
ただでさえ最近彼といるとペースが狂いつつあるのに、蘭華が居るせいで余計に調子がおかしくなってしまう。勢いよくパンケーキを食べ終わり「ご馳走様っ」と席を立つ。「何処に行くの?」と聞いてくる蘭華にジト目で「お手洗い!」と返し、その場を立ち去った。あの空気にずっと居座るのは何だか気が持たなかった。 *** 「あーあ、ゆうちゃん怒っちゃった」 そう言って、目の前の彼女は困った様に笑いながら目の前のオムライスに視線を戻した。自分も祐樹が居なくなって届いたばかりのハンバーグセットに目線を移し「頂きます」と手を合わせる。 .....気まずい。 同世代の女子と二人きり、加えてこういうカフェとかに行くのは高校生ぶりだ。 祐樹と番になってから、楽しいもの、美味しそうなものから避けてきたから。自分はそういうのを楽しむ資格は無いと思っているから。...勿論それは今も。 「──初めて見たな、ゆうちゃんのあんな顔や態度。不服だけど、やっぱり晴也さんのお陰なのかも」  「え...」 不服だけど──そんなワードが聞こえてきてパッと顔を上げると、先程とは違って真剣な表情で自分を見つめる彼女が居た。「ごめんなさい」と素直に頭を下げる彼女は少しだけ悪びれそうに視線を逸らして続ける。 「ずっと貴方の事が嫌いだった。ゆうちゃんは気にしていないっていうけど...やっぱり聞く限り内容はいいものじゃないから。第三者の私には関係無いって思うかもしれないけど、ゆうちゃんの事が大事な友達だからこそ嫌だった」 「──」 「ゆうちゃんは貴方と向き合おうと花迄買いに来たんだよ。私達が思っている以上に苦しんでた筈。どうしてもっと早く寄り添わなかったの?」
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加