4 物足りない※

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何か困った事があったらいつでも頼って──あいつはそう言っていたけど..流石に個人の性欲に付き合わせるのは申し訳ない。というか、それは僕のプライドが許さない。ただでさえ最近は予想外の出来事が多過ぎて振り回されっぱなしだった。自分の事は自分で解決してやる。そう息巻いていたが... (やっぱり無理.....) 僕の身体は思っていた以上に快楽に貪欲だった。 不完全燃焼でげっそりした顔のまま夜ご飯にありつく自分に「祐樹、顔色悪いけど大丈夫?」と晴也は聞いてくる。思わず顔より先に彼の性器に視線を送る。だいぶやられているな、自分...。 「平気....ちょっと疲れてるだけ。ご馳走様...」 「もう食べないの?」 「ごめん、食欲なくて....タッパーに入れていいかな。明日の朝ご飯で食べる」 残してごめん、と続け、残飯をタッパーに詰めていく。「それは全然構わないから、もうゆっくり休んでて」と慌ててキッチンに来る晴也の優しさに罪悪感で胸が痛む。病気より性欲の自分って...。 (何かないかな。一人でどうにかして気持ち良くする方法....) ソファに寝転び携帯の画面をスクロールする。たまたま視界に入ったのは『一人でも充分気持ちいいオモチャグッズ』という記事──手を止め、晴也が此方を見ていない事を確認してからタップする。開くと見た事がない形をした大人のオモチャ一覧がずらりと並んでいて、びっくりして携帯を投げそうになる。晴也がキョトンと僕の方を見ているので慌てて心を必死に押し殺し、再び端末を見る。
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