5 君と紡ぐこれから

4/11
前へ
/82ページ
次へ
僕を抱き起こし、ギュッと抱擁する晴也。僕を抱き締める腕は力強く、まるで何処にも行かないでくれと言っているみたいだ。彼の背中に腕を回そうとする手を両手で握られる。彼の体温が少しずつ掌から伝わってくる。 「祐樹と深く関わって余計に欲張りになってしまった。──祐樹が大好きだ。大好き。.....過去は無くならない。ずっとその贖罪を抱えて生きていくつもりだよ。でも、祐樹の事を簡単に手放せそうにない。ずっと、俺の我儘ばかりでごめん。もう隠し事なんてしないで。こんな俺だけど一生大事にするから──俺と、結婚して欲しい」 ......けっこん? 結婚?! 「は、はぁっ?!結婚って...僕、どのくらい生きられるか分かんないんだけど!それなのに結婚するって──」 「俺にとって祐樹は最初で最後の番だから」 そう言って立ち上がった彼は自室に戻り、小さい箱を手にリビングに戻ってくる。床にぺたりと座り込んだ僕の前に跪くと、小さな箱の蓋をゆっくりと開けた。キラキラと輝く指輪を手に取ると、そっと僕の手を取り指に通す。いつの間にこんな... 「お願い、祐樹。このまま俺に流されて。俺と結婚して。祐樹は俺にとっての全てなんだ」 指輪のある薬指にキスをし、真剣な表情で晴也は僕を見つけてくる。ちょっと待って...僕はてっきり、告白して両思い発覚して本当の意味で番になるって流れかと思っていたのに──その先の『結婚』って...予想外過ぎる急展開に頭がキャパオーバーだ。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

332人が本棚に入れています
本棚に追加