5 君と紡ぐこれから

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「終わった〜....」 家に帰るなりソファに真っ先に向かって寝転ぶ。後から続いて入ってきた晴也は「緊張した...」と未だに鳴り続ける心臓を押さえている。 僕の手術は年末頃に決定した。まだ特に症状が悪化したりなどの変動は起きていないが、早いに越した事はない為、日程は年内に決まった。 そして、あの後両親からそのまま一泊泊まらないかと提案されたが断った。実家で晴也も一緒に過ごすだなんて、流石に気まずかったので言い訳をして帰ってきたのだが.... 『......あまり激しい運動はしない様にね』 僕と晴也を見つめていたあの冷めた目──絶対色々と気付いていた。父親は首を傾げていたけど.... 「もう家に帰れない....気まず過ぎる。もう寝る、疲れた....」 「はは...俺も二度寝しようかな」 そう言って隣に腰を下ろす彼の左手の薬指には僕が身に付けているものとお揃いの指輪が輝いている。ジッと見つめながら「それ、大学にも付けていくの」と指を差す。因みに僕は失くさない様に、加えてあまり干渉されない様にネックレスにしてぶら下げている。 「付けていたら今迄厄介だった女避けにもなるし、俺は付けるかな。俺に番がある事は皆知っているけど....」 「ふーん....モテるんだ」 何となく面白くなくて素っ気ない態度を取ってしまう。「拗ねてるの?」と楽しそうに聞いてくる晴也の顔は意地悪な表情を浮かべている。ふいっと顔を逸らし「別にー」と返しながらネックレスを取り出す。 「......じゃあ僕も指に嵌めておこうかな。デートの時とかは」
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