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「晴也さんとは上手くいってる?」
僕に帰された晴也の哀愁漂う背中をぼんやりと眺めていると、不意に横から笑顔で聞いてくる彼女。色々あったけど両思いになり、結婚する事が決まった経由を既に彼女には伝えていた。
「まぁ...びっくりするくらい平和に...上手くいってるよ」
そう返した僕の指にはネックレスだった指輪がある。彼とのデートとバイトの時に付けている。頬を染めてそっぽを向く僕をニヤニヤと堪えきれない笑みで「幸せそうですねぇ」と眺めてくる。あんなに恋愛事は関係ありませんみたいな顔をしていた手前、結果こうなったので何だか恥ずかしい。
「二人が結婚か〜はぁ〜いいねぇ。学生婚か〜凄いなぁ、憧れるなぁ。ゆうちゃん、結婚式はするよね勿論」
「え...結婚式はしないつもりだったんだけど。向こうは親と絶縁状態だし、呼べたとしても僕の高校生の頃の友人....はもうそんなに話していないから、両親と蘭ちゃんくらいだよ」
結婚式の事なんて考えた事がなかった。
うーん、と悩んだ素振りを見せた後「あ、じゃあ写真は?」と良い事を思いついたみたく嬉しそうに言う。
「確かに結婚式ってお金凄く掛かっちゃうもんね。ウェディングフォトだけ撮って、稼いだお金は旅行とかこれから趣味とか見つけてそっちに使ったりとか良いんじゃない?」
「ウェディングフォト......旅行か...」
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