6 さよならの向こう側※

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──── ── *** 祐樹が日本を発ってから、行ってらっしゃいと見送ったはものの気が気でない日々が続いていた。一週間....加えて手術の結果によっては長引く可能性もある──そう覚悟して一日一日を過ごしていた。そんな自分の心配とはよそに、電話をする度に聞く彼の声は元気そうだ。だから安心して手術の成功を祈っていた。そんな矢先だった。 「──?」 大学での講義中、知らない電話番号から電話が掛かってきた。慌てて廊下に出て「もしもし」と電話に出ると、『晴也さん?』と聞き覚えのある声が聞こえてくる。この声は..... 「祐樹のお母さん。何で電話番号....」 『ごめんなさい。あの子の携帯を勝手に開いて確認したの。緊急の内容だったから貴方には早く伝えないといけないって』 ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。 緊急の内容。母親の焦った声のトーン。唇が震えるのを悟られない様に「はい」と頷く。 『──祐樹が発作を起こして倒れたの。意識不明の状態で予定より早く手術を行う事が決まったわ』 ──その言葉を聞いた時、自分がなんと答えたか分からない。気が付いたら電話は終わっていて、俺は廊下に一人取り残されていた。視界が歪み始め、息が上手く出来なくなる。祐樹のいない世界を一瞬でも想像してしまい、目の前が真っ暗になる。
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