6 さよならの向こう側※

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「生でって....それは...」 ヒート中の生での性行為は妊娠の可能性を高める。その意味を分かってて煽ってるのかと言いたげな余裕のない表情の彼に、僕はギュッと彼を抱き締め挿入を促す。ゴム越しじゃない彼の性器の先端が僅かに入り、「ちょっ....祐樹」と僕を落ち着かせようと止める。グッと押し込む様に足も回して固定して、天井を見つめながら彼の耳元で言う。 「──僕と晴也の真ん中に子供がいて、皆で仲良く手を繋ぐ未来。想像しちゃった」 「.....!それは...凄く幸せな未来だね」 僕を愛おしそうに見つめて言った後、彼はそれ以上何も言わずに僕を抱き締め返し、ゆっくりと挿入していく。負担を減らす様に腰を支え揺さぶる様に動かす中、荒々しい息と一緒に言葉を吐き出す。 「祐樹っ....大好き。好きだ、ずっと──愛してる」 ''愛してる''──初めて好きな人が出来て初めて好きになった人に言われた言葉。思わず「ぼ、僕も」と辿々しくなりながらもギュッと力を込めながら返す。 「僕も祐樹の事を愛してる──」 「えぇ!それで今は旅行計画を立ててるんだ!」 今にも付いて来そうだと警戒したのか、興奮した様子で聞いてくる蘭ちゃんに「蘭華は連れて行かないから」とムスッとした態度を取る晴也。「はいはい、お二人の邪魔はしません〜」とおちゃらけた態度で返す彼女──時間が経っていくと同時に、二人は友人として仲良くなっていった。僕が無言でボーッとブーケを作り続けていると、「ゆうちゃん、少し疲れてる?」と先に休憩に入った彼女が声を掛けてくる。
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