1 僕と彼の関係

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(手で弄られて達したら終わりって....あんなに無我夢中で僕に襲いかかってきた奴が性欲が無いなんて到底思えないけど) こっちはあんたのせいであんたにしか発情出来なくなっているというのに。 流れであっさりえっちの展開に持っていってくれたらこっちも気を遣わなくていいのにな。いや、無理矢理番にした手前そんな風に流れを持っていく訳ないか。彼、こうして一緒に住むようになって改めて思ったけど、あまりにも真面目だし。 そんな事を考えていると、完成したうどんをダイニングの机に持って来た晴也。「出来たよ」と声を掛けられたタイミングでソファから身体を起こし、先に椅子に腰掛けた彼の前に座る。 「わーい、美味しそう。頂きます」 「....頂きます」 ぱちんと手を合わせてうどんを頬張る。同時に、音を立てず静かにうどんを食べる晴也をチラリと見る。相変わらずの無表情っぷり....少しくらい気を許してくれないかな。あの時の事は僕がいいって言ったんだし、こいつは親の縁が切れた分もう自由だっていうのに。 (──もう直ぐ九月十日か) 秋学期の授業開講前のこの日は、僕と晴也が番になった日である。記念日...と言ってしまうと、そんなにいい日ではないが、過去の事は忘れて明るく前向きに捉えていきたい。こんな辛気臭い空気をこれから何年も感じるのはごめんだ。 「──ご馳走様。ちょっと僕外行ってくるから」
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