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「役に立てたみたいで何よりだよ。
なあ対馬、参考までに……聞いてみたいんだが、どうだった?
後輩君のその、まあ持久力やら持ち直しやら、あとは………興奮度?」
「市販薬のレビュー作るような感覚で聞いてんじゃねえよ。
………頼むから思い出させないでくれ……。あんなのはもう二度とごめんだ」
横に向かって睨みをきかし、カクテルグラスをググっと握りしめる。「はは、悪い悪い」と喜田は苦笑い。
「まずそもそも喜田お前………あんなクスリどうやって手に入れたんだよ。
確か漢方薬、って言ったよな。
いったいどこで何をどうして………」
喜田は小皿に乗ったアーモンドナッツを指先でコロコロと転がしながら答える。
「クスリの入手経路については危ないものでもなんでもない、仕事で最近中国へ行き来してるんだが、先方のお客さんで随分詳しい人が居てな。そっちで一稼ぎしようといろいろ準備しているらしいんだが…ああ、もちろん合法だよ。
ま、あくまで、ーーー中国では、だがな。」
結局は危ない話なんじゃねぇか、とツッコミそうになりつつも、自分をあんな目に遭わせた元凶、あの媚薬がどのようにしてこちらに舞い込んできたのかどうか、勿論知りたい。
対馬は黙ったまま、喜田の低音ボイスで語られるその続きの話を待つ。
「漢方医学、と言ってもやはり結局は商売だからな。売れなきゃ話にならん。なら売るには?それなりのものを作らないとーーー…
で、だ。配分の調合やらなんやらをだな……そこに必要な情報を。まあ、込み入った話を聞けるといろいろと助かるらしいんだ。
所謂本当に必要としている人間の、実際に服用した感想を聞けるとね。
俺が手にしていたのはなんてことはない……少しの好奇心と……まあ、人助け、だな。」
(喜田、大事なところ濁しやがった。
クソッ。こいつ、相変わらずデキる男だ………)
「やっぱり危ない匂いしかしないじゃねぇか。
てか、まさか。
喜田……お前も使ってんのか?」
対馬の怪訝な表情に喜田はロックグラスを片手に「フッ」と鼻で笑って見せる。
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