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▽5.薬の こうかは ばつぐんだ!
ーーーチュッ!
「ーーん!」
勢いのあまり、対馬の後ろ頭はトイレの壁にガン!と押さえつけられる。
「~~~ん、ン!ふぅ、は…っんっんっ!」
榎本の唇がどんどん覆うように唇を咥えては頬に口づけ、また唇へ戻り。はぁ、はぁ、と荒い吐息と共に対馬の耳元と頸にチュ、チュ、と吸い付きながら移動する。
対馬は驚きと動揺でまだ状況が把握出来ておらずビク、ビクと体を震わせつつも、ずっと、ずっと欲しかったその求められることへ感じる快感、溢れる恍惚に、ただ身を任せることしか出来なくて。
「はぁっえ、のもとっ…んンっ…んぅ!」
「先輩…可愛すぎ……大好き……ずっとこうしたかったんだ。
先輩。好きだよ……キス、しよう」
「ンっぅーーんぅ!」
榎本の掌で首根っこをまるで掴まれるように頭を強く引き寄せられる。
柔らかな温かい濡れた舌が、ぬるり、と唾液と共に口内へ侵入してくる。
「は、ぅあ…ぅんっ……んっン」
口内を激しく掻き回し、クチュ、チュウッと艶めかしい音を立てながら上顎に唾液を擦り付けるように続くいやらしい口付け。
舌先をチュッチュウッと吸われ、対馬は激しく動揺する。
「先輩…ねぇ。先輩……先輩も、ずっと俺と…こういうことしたかった?
俺にこうやって、触られたりとか…キスとか…ずっとしたいって思ってくれてたの?」
はぁはぁ…と荒い吐息を掛けながら耳元で囁くように訊ねる。
「し、らないっ……ぅ、バカ…黙れっ…ン、うるさいっ…」
「もう、強がりだなぁ…けどそんなとこも、めちゃくちゃ好き……好きだよ、はぁ…先輩」
首筋にチュチュ、と口付け、そのまま舌でれろり、ぬるっと耳たぶの裏を舐め吸い付く。
「ン、えっのもと!っ…!あっ…~~~~っ‼︎」
その時。
じわじわと這い上がるよう下半身へ感じていた昂りが、突然大きな波とともに押し寄せるように対馬の内側を襲う。
ぶわぁっと全身に鳥肌が立つのがわかった。
「ーーーー~~~~ッ‼︎」
ビクン、ビクン‼︎
と大きく体を震わせる対馬。
「………?せ、先輩………」
まるで痙攣するかのような異常なほどの対馬の反応に、榎本は驚き口づけを止め様子をうかがう。
「~~~~~………はぁ、はぁ、っ」
トイレの床に投げ出した下半身をまだ小刻みにビクッビクッと震わせる対馬の様子に、榎本はまさか…と察する。
「えっ……も、もしかして…先輩いま…
ーーーイッた…?」
「~~~~っ…」
否定しない対馬。真っ赤に染めた顔に恥ずかしさのあまりに涙ぐむ瞳。
全身がふるふると震え始める。
「え、ほ、本当………に?全然さわってないのに……?」
「……………る、さいっ…
………黙れ……」
(なんだよ、今のーー…嘘だろ、おれ、俺の身体……なに、どうなって……)
下着の中に滑るような湿り気と違和感を感じる。
先程の突然襲いかかってきた強い衝撃のような快感の波、下半身に全身の血が集まるような耐え難い感覚。
間違いなく……射精してしまっているとわかった。
もはや早漏なんてもんじゃない。
榎本から耳の裏を舐められただけで触れずと達してしまうなんて。
別に元々そんな感度バリバリのタイプではない、かと言って不感症というわけでもないが……。
こんな自分は知らない。
間違いない、これは……クスリの作用だ。
(あのクスリ、ほんとうに本物だったんだ…、てか、結構吐いたから大丈夫かと…嘘だ、ろ。
嫌だ…なんだよ。怖い……どうしよう)
こんな形でツケが回ってくるだなんて。
人を試そうとした罰?
(あと1日…明日まで我慢していれば。
榎本の気持ちを、想いを、真っ向から知ることができたのに。
ーーーバカだ、俺………。情けない…)
いわゆる賢者タイムに陥っている対馬。
情けなさと恥らいと、榎本への申し訳なさからさらにぼろぼろと涙をこぼし「…うっ、ひっく」と嗚咽を漏らす。
「…………」
そのいつもとは全く違うか弱い対馬の姿を目にして、ぞくぞく…と下半身から湧き上がる昂りに榎本は『ゴクリ…』と生唾を飲み込んだ。
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