D、復讐

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 魔物の核は「依存」だ。 母とエリカを殺した女も父に依存して、自分の人生丸ごと父に面倒を見てもらうために、邪魔者を排除しようとした。 この吐き気がする女も、依存していた仕事の地位がダメになったら恋愛に「依存」しようとしている。 依存先があるから魔物は凶悪になる。 僕が父を罰したように、僕も罰せられなければならない。  僕が、この女と最初から接点を持たなければ、はると出会えなくても、はるは殺されることは無かっただろう。ゆいも・・・最初から居なければ・・・生まれることなく死ぬこともなかっただろう。 「富士山に登ってみないか?」 珍しく、大輝はまりなに提案した。 「五合目までは車。そこから登ってすぐ下山する。どう?」 「嬉しいけど、登山用品なんて何も持っていないわ」 「一緒に買いに行こうよ。お揃い?」 大輝は、最大限に優しそうな顔を造った。 昔から、ショッピングもイヤがった大輝が、いきなりアウトドアデートを誘ってきたので、まりなは嬉しかった。 あの邪魔者が居なくなって1年。そろそろプロポーズかも知れない。  大輝は、この一年、なぜ自分が生きていられたのか分からないほど辛かった。何度後を追おうと思ったか知れない。でも、罰を下すまでは死ねないと思った。この女の中から、はるとゆいを殺したことさえ消えていくのが我慢できなかった。 一発で仕留める。合法的に。 魔物は、人間社会の中に置いて置くことはできない。
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