D、復讐

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まりなの上の方からパラパラと何かが振って来る。まりなは最初、小石?と思った。違う!落石だ!  まりなが立ち上がった。身を隠そうと走り回ったが、まるで落石は、まりなを追いかけるように方向を変えた。落石は小さなものだったのに、徐々にこぶし大の大きさの石まで降ってきた。  逃げ惑うまりなの首と背中に大きな衝撃が襲った。まりなは、そのまま意識を失った。  まりなが目を開けると、落石は止まっていた。目に入ったのは青い空だった。とても綺麗な空だった。暫く、その青に見入っていた。   ザッザッという足音がまりなの方に向かってくる。  大輝だ!彼が私を助けに来たとまりなは思った。私を心配して戻ってきた。 ずっと夢見ていた。ロマンチックな何かがやって来る。 足音の主は大輝だった。 大輝は、まりなの横で立ち止まった。 そして、まりなの顔を覗き込んだ。その顔は無表情だった。その無表情が事務的に言った。 「復讐は終わりだ。頑張って生きていけ。生きるしかない人生を。 そして、その一生をかけて考えろ。人間に戻る道を」 「何言ってるの?訳が分かんない」まりなは、甘さの欠片もない大輝の言葉に驚き、立ち上がろうとした。 なのに、指一本動かない。
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