D、復讐

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「身体が動かない・・・あんた、私に何をしたの?」 「落石を起こした。お前の頸椎を完全に粉砕した。お前は一生、首から下は動かない。死ぬより辛い罰が待っている。妊婦と腹の子を殺したんだから当然だろ」 「早く病院に連れて行ってよ!私は殺してなんかいません!勝手に池に落ちただけよ!」 「そうだったとしても、助けることもしなかった奴は人間じゃない。僕には色が見える。前にも言っただろう。辛いことがあると、色以外のものも見えるんだ。僕の目に映るお前は人間じゃない」 「僕も人間じゃない。僕は特殊能力を持たされた神に選ばれた者だ。自分は幸せになれないようになっているらしい。前の魔物は竹刀で頭を叩き割った。 17歳で正当防衛。こんどは、事故だ。不運な41の女は、これから50年、人の世話を借りなければ生きていけないようにした。 これが、僕が下す罰だ。 死刑なんてぬるい。 毎日毎日、下の世話をしてもらって長生きしろ」 それだけ言うと大輝は、まりなから離れだした。 「山小屋に連絡しに行く。そのうちに救助が来るよ。お別れだ」  大輝は、下山し始めた。後ろから、まりなの泣きながら怒鳴る声が聞こえても一切後ろを振り返らなかった。 自分の車まで戻ると、マンションとは違う方角に進路を定めた。  会社には昨日、辞表を出しておいた。
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