E、イノセント

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 大輝は、奥多摩の山奥で隠者のように暮らしていた。 頼ったのは、総本家の神主夫婦だった。年若いその夫婦は、大輝の申し出を快く引き受けた。  大輝は今、神社の下働きをしている。 前に神主が言った「お役目」を果たしたのだと考えたからだ。 大輝は神主に「第3の目」の話をした。力は強くなり、落石まで起こして「魔物」を処分してきたと言った。殺しはしなかったとも。  大輝は真剣な目をして神主に言った。 「死は最大の罰ではないと思うのです。最大の罰は生きているだけの生です」 神主は、面白そうな顔をして聞いていた。そして言った。 「君のお役目は、まだ終わっていない気がする。第3の目を持つものは、この世界で奉仕しなければならないんだよ。今しばらくは、此処に居ていいけどね。」  大輝は、離れに住まわせてもらっている。小さな畳一間の部屋だ。 或る夜、眠っていると小さな手が大輝の頬をピタピタと叩いた。目を開けるとエリカに似た2歳にもならない女の子がいた。  その子の側には、はるがいた。二人とも着物姿で大輝の枕元に座っていた。 はるが言った。 「お役目が終わったら、3人で暮らせますから、待っていますからね。ゆいは大きくなってしまうので、時々こうして顔を見せに来ますから。待っているね。だいちゃん」 ゆいは、ちょこまか動いて大輝に抱き着いた。 「おとーしゃん」とゆいが言った。
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