A-2、現実を見る

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 まりなは、社内で大輝と一番仲がいいと言われている大久保壮太に相談をしようと思った。大久保なら大輝から何か聞いているかも知れない。前々から「いつでも相談に乗るよ」言われていた。大久保は明るい性格で話しやすい。  金曜の夜、居酒屋で飲み食いしながら大輝のことを肴に色々話した。 「大輝は、未だ結婚とか全然考えていないよ」  やっぱり……とまりなは予想通りの事実に少しガッカリした。下を向いてしまった。すると大久保が居住まいを正して、まりなに言った。 「実はさ、俺、まりちゃんのことが、ずっと好きだった」と大久保は照れながら告白してきた。  大久保壮太のスペックはルックス以外は大輝と、ほぼ同じ。話も面白いし、何よりも私を好きって言ってくれる。大輝が悪いんだよと頭の中で言いながら、その後、大久保とホテルに行った。2年もセックスしてなかった。女として干からびちゃう。  もう、28なんだから、妥協することにした。愛されて結婚する方が幸せになると言うしね。  月曜日の朝、まりなはエレベーターのところで大輝と出くわした。 「おはようございます」と言ったまりなの顔を大輝は暫く見つめていた。 大輝は、痛ましそうな何とも言えない表情をして、まりなに言った。 「幸せになってくださいね」
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