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大輝は鼻で笑った。
「それを聞きたくてアパートまで来る?ラインもブロックしてないし、電話もあるでしょう?ここに来たのは好奇心だけじゃない。君の色が違うと言っている」
大輝の目が、まりなの全身を見る。その眼差しは全てを見抜くような冷たさがあった。
「自分に都合がよくなるためなら何でもしそうな感じだ。もっと言おうか?ヨリを戻す下心がある。戻すものさえないのに・・・」
大輝の言い方が余りにも失礼だったので、まりなは怒りを感じていた。顔には出していなかった。
「怒ってるね。いいよ。怒って。怒ったら認めることになるよ。僕が、こうなったのは、母と妹を殺されてからだ。15年前の事件だ。横浜に住んでいた。殺人事件だよ。調べてごらんよ。そうしたら、少しは僕と言う人間がわかるだろう。知りたいならどうぞ。スペックとかしか興味が無いなら辞めておいたほうがいい。面倒臭いから」
まりなの目の前でドアは締まり、ガチャっとカギをかける音がした。
お母さんと妹さんが殺された?
15年前・・・大輝は高校生だ。本当なら、どれだけショックだったことだろう。
なにがあったんだろう。
人間性が見えるなんて到底信じられない。大輝は精神を病んでいる。
まりなは15年前の事件が本当かどうか調べてみようと思った。
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