告白(2)

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告白(2)

「うん、マジ。今は怖くないよ。怖い気持ちは、どんぐりと一緒に埋めちゃった」 「なんだそれ」  リュークと視線がぶつかって、一緒に笑う。ずっとこんな時間が続いたらいいなと思うと、心臓がムズムズする。 「ミーナ」  笑っていたリュークの顔がまじめになったので、つられて尻尾を正した。 「俺、鍛冶屋をひらくのが夢なんだ」 「? うん」 「もうすぐ親方から独り立ちの許可が出そうなんだ」 「おめでとう! 今度、お祝いしなくちゃだね」  なぜこんな話が始まったかわからないけど、夢が叶いそうなリュークの話に自然と笑顔になっていく。 「春になったら、故郷に戻って鍛冶屋をやる。故郷に帰ったら、ミーナに会えなくなる」 「え…………?」  リュークと会えなくなるなんて、考えたことがなかった。これからも会えるって思っていたから、驚きすぎて言葉も出てこない。   「俺、ミーナのことが好きだ──ミーナが作るキッシュも旨いし、ちっさい口で食べてる仕草もかわいいし、がんばって働いてる姿も好きだ。ミーナの大事なもんが、全部ここにあるの知ってるから、好きだって言わないで、友達のまま別れようと思ってた。でも、」  言葉を切ったリュークに見つめられる。赤い瞳に熱がこもっていて、目をそらせない。
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