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冬眠(1)
赤や黄色に染まっていた葉も、木の枝から落ちていく。冬の足音が、わたしとリュークの恋の終わりを運んでくる。
夜空に一番星が灯る。パン屋の看板を仕舞い終わると、ため息がこぼれた。リュークが好きなのに氷の国で結婚する勇気が持てない。
マフラーを首に巻きつけ、帰り支度をはじめた。手袋をはめようとして手を止める。
「わたし、やっぱり、リュークと離れたくないよ……」
ペンギン獣人のリュークも、火を扱う鍛冶屋に勤めている。ペンギンが暑さを克服できたなら、リスも寒さを克服できるんじゃないかな?
気合いを入れて、赤い手袋を鞄にしまった。
あれ?
北風が吹いているけど、寒いのも大丈夫かもしれない──!
花模様のマフラーを巻くのをやめた。ニットの帽子、もこもこのアウター、厚手の靴下もひとつずつやめていく。凍えそうな時も身体を動かしていれば、寒さをやり過ごせることに気づいた。
リュークの故郷に一緒に行く勇気を持てたわたしは、尻尾を嬉しくて揺らした。
「七色のアイスケーキをください」
空はどんより曇って、初雪がちらついている。
一緒にアイスケーキを食べながら、リュークの故郷に一緒に行くよってプロポーズの返事をしよう。喜んでくれるかな? びっくりしちゃうかな? と思いながら冷凍庫にアイスケーキをしまった。
「なんだか、眠たいな……」
すごく眠たくて、頭がふわふわする。今にもひっつきそうなまぶたをベッドまでなだめて歩く。ベッドに横になり、毛布を鼻まで引き上げて目をとじた。
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