43人が本棚に入れています
本棚に追加
告白(1)
青空にもくもくした雲が浮かび、庭の向日葵が元気に咲いている。リュークとわたしは、休みになると会うようになっていた。
今日は、秋の新作『秋鮭とキノコのキッシュ』と『ごろごろ栗のキッシュ』の試食をお願いしていた。リュークが秋鮭のキッシュに迷わず手を伸ばす。
「リュークってお魚好きだよね?」
「おう、ペンギン獣人だからな」
「リュークって人族じゃなかったの?!」
リュークの返事にびっくりして、目がまんまるになった。
「ん、言ってなかったか?」
「聞いてない! 全然わからなかった……」
「よく言われる。でも、ミーナのこと助けられたのも、泳ぎの得意なペンギンだったからだぜ」
「ペンギンは、水を飛ぶように泳ぐって言うもんね。本当にありがとう」
美味しそうに頬張るリュークをじっと見つめる。
リス獣人のわたしは、耳と尻尾がシマリスっぽい。リュークにペンギンらしさを探しても、クチバシはないし、腕も羽毛は生えていない。じろじろ見ていたら、ニカッと笑ったリュークと目が合った。
「ミーナはわかってないな。このワイルドな髪とイカした金髪が特徴だぜ」
「その髪型、ペンギンの特徴だったんだ!」
「超カッコイイだろ!」
「えっ、怖い人だと思ったよ」
「えっ、マジ?」
鍛冶屋で思っていたことを口にしたら、栗のキッシュを持ったまま固まっている。怖いのに、かわいい。
最初のコメントを投稿しよう!