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告白(3)
「やっぱりミーナが好きだ! 俺の故郷で結婚してほしい! でも、だめならキッパリは無理だけど、諦めて故郷に行く」
「……キッパリじゃないんだ?」
「キッパリは無理だろ?」
真面目な話だったのに、リュークが拗ねたように笑うから吹き出してしまった。緊張してたのがほぐれて、素直な気持ちが口からこぼれる。
「わたしもリュークが好き。でも、一緒にリュークの故郷に行くのは、ごめん──自信ない」
ペンギンの住むのは、北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまうリス獣人のわたしが、一年中氷のある国で暮らすのは無理だと思う。
「だよな…………、? えっ、マジ? ミーナ、俺のこと好きなの?」
「えっ、う、うん……」
「ミーナ、悪い! 俺、諦めるの諦めたわ。好きな子に好きって言われて諦めるなんて、絶対無理」
「ええ──っ?!」
「ペンギンは結婚する番相手を決めたら一生変えないんだ。俺は、ミーナがいい。お試しでもいい! 春まででもいい! 俺と付き合ってほしい」
変わり身の早さに素っ頓狂な声をあげたのに、リュークがニカッと笑ったから、つられて笑ってしまった。
向日葵にしましまの種がずっしり実る頃、わたしとリュークは春までの恋人になった。
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