プロローグ

1/1
前へ
/16ページ
次へ

プロローグ

   春が訪れたばかりの川の水は、冷たい。水をずっしり含んだ尻尾が(おも)しになって、川の底へと沈んでいく。シマリス獣人のわたしは、寒すぎると冬眠してしまうのに、うっかり川に落ちてしまったのだ。  揺れる水面、沈む身体、薄れる意識。  そのとき、水中を飛ぶような速さで青いもの──いや、青髪の人がわたしに向かって泳いでくるのが見えた。伸びてきた手に腕をガシッと掴まれたけど、私の意識はそこでぷっつりと途切れてしまった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加