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「美味しかったねぇ。」
「うん、さすが水咲が目を付けた店だけあるな。パスタも良かったけど、デザートのティラミスも最高だった!」
僕と水咲は満足気に店を出た。
「ほんとにいいの?奢ってもらっちゃって。」
「勿論ですとも。毎日その為にバイト頑張ってますから。」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、聖人、最近大学休みがちじゃん。バイト頑張りすぎじゃない?」
「あれ、それって賢太から聞いたのか?あいつ、水咲に余計なこと言いやがって。」
「金原くんは聖人を心配してたのよ。それに、金原くんは私に大学の違う聖人の情報を教えてくれる大事なスパイなんだから悪く言わないでよ!」
水咲が笑いながら言った。
「スパイって…まぁ別に水咲に言われて困ることは何もしてないから問題ないけどな。」
「ふーん、じゃあ大学休みがちなのは?」
「…それはさ。」
僕は言葉を詰まらせた。
「あれ?やっぱり何かあるの?」
「…いや、じゃあさ今から言う事馬鹿にしないでよ。」
僕の言葉に水咲は首を傾げながらも頷いた。
「…実は僕、霊感が強い方でさ、あの大学至る所にいるのよ。」
「…霊感の話は初めて聞いたけど。その、いるってのは…霊的な話?」
僕は頷いた。
「そうなんだ。ちょっとびっくりしたけど、大学の話は行けなくなっちゃうほど影響あるものなの?」
「僕のその力が中途半端というか、上手く制御できないのが問題かもしれない。まぁ留年になることはしないからさ!ほら、折角美味しいご飯食べて気分良いんだから、こんな話はやめやめ!」
僕はわざと明るく振る舞った。
「そうだね、ごめん。」
水咲はそう言って腕時計をチラッと見た。
「もう9時過ぎか。…あのさ、ウチ近いけど来る?」
僕は水咲の言葉にドキッとした。水咲とは賢太を通じて知り合い、付き合うようになってからはまだ1か月くらいで、互いの家にはまだ行ったことが無かった。
そこから徒歩5分くらいの場所に水咲の住むアパートはあった。
「お金無い一人暮らしだから、部屋は狭いからねぇ。」
「僕も同じだよ。しかも絶対僕の方が部屋汚いと思うし。」
水咲は僕の返答に微笑みながら玄関の扉を開けた。
その瞬間、僕の身体に悪寒が駆け抜けた。
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