同室者

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同室者

1日の授業を終え、隆、色と帰路につき、色の部屋の前で別れて帰宅。 今の状況はというと、隆に壁へ追い詰められていた。 え、何故? 「ちょっと隆さん?なにこれ」 「なにが」 「いやいやいや、なぜ俺は壁ドンされてるの」 「もう忘れたかニワトリ」 「ハッキリ覚えてるけど、違くて。だからなんで壁ドン」 「股ドンが良い?」 「そういう話じゃなっ、あ、あ。まって」 何ドンが良いとかどうでもいい、と彼の胸を叩けば、股下に圧迫感。 目線を下におろせば俺の股下に隆の長い足が入り込んでいて、俺の息子をグリグリと押し潰している。 いや腐ってる皆さん、気付いて。 押し上げている、じゃなくて押し潰している、だから。 全然アッの方じゃないの。 痛い、とてつもなく(倒置法) 「隆!痛い!俺将来子供出来なくなるって!」 「まず嫁が出来ないだろ」 「うわ、失礼。平凡なりに平凡な家庭つくりあげますけど」 「お前、家族全員平凡にする気か」 「何そのテロみたいな言い方」 いい加減離せ、と睨みあげれば、彼はもう飽きたのか素直に足をどけ、距離をとる。 たまにこういう絡みがあるが、初めてされた時はそりゃもう目ん玉飛び出て目玉焼き作れるくらいには驚いた。 コイツも思春期が来るのか、と。 過去の思い出にふけっていれば、隆がこちらを見ている事に気付いて首を傾げる。 「やっぱお前Mだろ」 「うーわまたその話?どんだけ俺をMにしたいんだ」 「痛いって言いながら気持ち良さそうだったじゃん」 「俺耳鼻科行くから隆は眼科行け」 なんだその「嫌だはもっと」みたいな考え方。 同人誌に出てきそうなセリフに吐き気を催しながら、自分の部屋に入ってスウェットに着替える。 たまに隆は電波が狂うのか、変な事を言い出す時があって流石の俺でも恐怖を感じる。 そろそろ落ち着いたか、と思い自室の扉を開け隆を探せば彼は既に着替えを済ませ、ソファでテレビを見ながら寛いでいた。 マイペースすぎだろ。どっかの帝か。 「ねー晩御飯どーする」 「作れ」 「おい、俺は召使いでも家政婦でもないからな」 「似たようなもんだろ」 「全然違いますー守るのと家事するのは別物ー」 そう言いながらも、台所に行って食材の確認をしている俺は将来立派な夫になると思う。 と、そこでポケットに入れていたスマホがヴゥ、と震えるので手に取り開けば、色が「部屋どこ?」と送ってきていた。 「ちょっと色、迎えに行ってくる」 「ブラコンだねー」 「ブラコンですー」 適当に返されたので俺も適当に返し、スウェットの上からナイロンパーカーを羽織って財布片手に外へ出る。 食材が少なかったので買い足しもついでに。 春とはいえまだ冷えるので上着を着たのはいい選択だった。 そう歩き出したのは良かったが、色がどこにいるか聞くのを忘れていたので「どこ?迎え行く」と送れば、開いたままだったのか直ぐに既読がつき「1階フロア」と返ってきた。 スーパーも1階なので助かる、と思いながら俺はエレベーターのボタンを押す。 これが運動不足の原因ですね。
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