第二怪異 キラキラ男子

5/7
前へ
/16ページ
次へ
 いつの間にか、その商品を買う流れになっていた。買った物を高く売って、差額が儲けになる。馬鹿みたいにシンプルな話だが、だからこそ恐ろしい。話だけ聞くと、なんとなく出来そうな気がしてしまうのだ。周りの犠牲者達には申し訳ないが、頃合いを見計らって退散しようと考え始めた。  プレゼンは続き、意味不明なタイミングで巻き起こる不気味な笑いにも、いよいよ耐えられなくなってきた。後方の捕食者たちに狙われている。そして、そこには例のキラキラ男子も含まれているのだ。  いよいよ潮時だと考え始めたその時だった。突然、前方のスクリーンに写真が投影された。講師と女性と子どもが映る画像だ。 「おっ、おい! 誰だよこんな、この前サーフィンに行った時に撮った家族写真を資料に内緒で入れたのはー!」 何という説明的な大根芝居だろうか……。そして、誰も聞いてもいないのに自慢話が始まった。 「見られちゃったから話すんですけどね。まあ、綺麗な奥さんと子どもがいて、サーフィンもやってるんですよ。こんな経営者、そうそういないでしょう? こんな風になりたいでしょう?」 経営者と言えば聞こえは良い。何とでも言える。個人事業主とも自営業とも、詐欺師とも……。いや、法的には詐欺とも言い切れないかもしれない。話を聞く限りでは違法なネズミ講とは少し違う。だからこそ始末が悪い……。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加