第二怪異 キラキラ男子

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 そこから休憩を挟んで、今度はグループワークを行うらしい。逃げるなら今しかないと思った。即席で考えた作戦を実行した。スマホのタイマーをバイブレーションに切り替えて二分で設定した。そして、キラキラ男子に話しかけた。 「今日はありがとう。勉強会、為になったよ」 「そう言って貰えて良かった。で、いくら買う?」 背筋が凍った。 「え? いや、副業はやらないよ」 「そう言わずにさ、今後の予定表も作成してきたから、後で打ち合わせしよう!」 そもそも話を聞くだけだと言っていたはずだ。勝手に話が進んでいる事に恐怖した。間違いない、今日は狩られる側だ。本能が訴えかけてきた。が、この流れは想定の範囲内だった。期待通りのタイミングで携帯が震えた。 「ちょっとごめん! 会社からだ、すぐ戻る」 そう言って会場の隅で電話に出るフリをした。神妙な面持ちで会話している風を装った後、彼の元に戻った。 「本当にごめん! クレーム案件が発生しちゃって、すぐ行かなきゃ! とりあえずまた今度!」 今度はないと思ったが、彼の返答を待たずにその場を後にした。何とか脱出に成功したのだった。
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