第一怪異 落ち武者メタボ

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「飲めよ」 「いや、もう飲めなくて……」 「あ? 俺の酒が飲めないのか?」 「そんな、とんでもない……。じゃあ、せっかくだから貰おうかな……」 完全にアルハラだ。もっと言えば、そもそもそれは「俺の酒」ではない。その日は彼の奢りなのだから……。二合徳利を五本、つまり、一升空けたところで、そいつにお会計をさせた。  そこからの記憶は曖昧だ。帰り道に彼の胸ぐらを掴み「よくも騙したな! 今日の事を他の連中にバラしたら、お前が宗教に傾倒している事を仲間全員に言いふらす」などと、しっかりと脅迫していたような気がする。後日、拳が若干痛んだが、多分、殴ってはいない。そう思いたい。ちょっぴりやり過ぎたかもしれない。反省した。  それからというもの、落ち武者メタボから連絡が来る事はなかった。何を信仰しようと自由だが、友情を餌にだまし討ちのように勧誘する事は勘弁願いたいものだ……。
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