第二怪異 キラキラ男子

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唐突に彼は聞いた。皆目見当もつかなかった。考えていると彼は続けた。 「今は言えないんだけど、凄いビジネスの話があるんだよ。今度の日曜日、時間貰える? 勉強会があるんだ」 一気に酔いが醒めた。嫌な予感しかしなかった。 「今言えないのはどうして?」 「誤解を与える事があるんだよ」 「どんな誤解?」 「誤解……。誤解は忘れて。特別なビジネスだから限られた人にしか教えられないんだ」 聞けば聞くほど怪しい……。 「そうなんだ。申し訳ないんだけど、うちの会社、副業禁止だからやめておこうかな」 「副業禁止でもみんなやってるから、大丈夫大丈夫!」 キラキラ男子がいつにも増してキラキラ、いや、その時はギラギラしていた。彼はさらに追い打ちをかける。 「日曜日、話だけでも聞いてくれないかな? お願いだよ! 人数が足りなくて」 完全に怪しい話だが、せっかくの友情を壊す事にも抵抗があった。何だかんだで男同士のカラッとした深すぎない人間関係に癒やされていた自分がいたのだ。 「今の仕事が充実してるんだ。だから、副業はできない。それでも良ければ、今回に限っては、話を聞くくらいなら……」 我ながら、何やら注釈の多いOKとなった。彼は頭を下げると握手を求めてきた。まるで勝手に商談成立したような流れで、若干の嫌悪感を覚えた。
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