オリジン

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オリジン

私には大好きな人がいる。 その人は彼氏となって今では 3年間以上の付き合いになっている。 「ねぇねぇマー君? 今度一緒に海に行こう?」 いつも、マー君の方から誘ってくれる からたまには自分で誘おうと 思ったから聞いた一言だったんだ。 「いーよ、今週の土日は晴れ予報出てるからそこで行こう。」 「もっちろーん!」 すんなり決まってすごい嬉しくて ワクワクしながら当日を待った。 「マー君、信号青になったよ。 進もう?」 「あ…あぁ。 ごめん、ちょっとボーっとしてた」 「ううん!気にしないで。 今信号青になったばっかだから。」 「ありがとう。」 そんな会話をしていた突如、 耳を塞ぎたくなるような… 急ブレーキ音が聞こえた。 それと同時に、何かがはねられて落ちる音。 そして、私の心臓の音。 隣りにいたはずの人はいなく なってた。 「マー君?ねぇ、どうしたの? 早く…海行かないと、混んじゃうよ? 早く行こ?」 返事はなかった。 目の前で起きたことに、私の心は ついてこれなくて一人だけの世界に いるよう。 「だ…誰か!救急車を呼んで ください!後、警察も。」 さっきの車の人は、逃げていった。 「救急車と警察を、 呼んでくれましたか?」 「…。」 周りの人は何も言わない。 「は…?」 そんなことよりも私は最悪な事を 目の当たりにした。 全員、携帯で動画を撮っていた。 マー君も写して。 私は思わず舌打ちをして 「警察と!救急車!呼んだ!?」 こんな事をしている間にもマー君の 心臓は弱まっている。 私は誰も動いてくれないと確信し、 自分で呼んだ。 呼んだが…来るのが30分後だそうだ。 マー君がそれまで耐えれるわけない。絶対に、間に合わない。 「…リーちゃん…?」 ハッ、と顔をマー君の方に向ける。 「リーちゃん?いるのかな。 どこにいるの?」 え? 「マー君?私はここにいるよ? マー君の隣にいる。」 でも貴方はそれに被せるように、 「リーちゃん、いるかわからないけどもう、目の前が真っ暗なんだ。 音も何も聞こえない。 今どうなってるの? 体の感覚もないんだ。今、体が 繫がっているかもわからない。」 「マー君…!!」 私はブワッと涙が零れ出た。 私が、早く車に気づいていれば。 私が、進むのがもう少し遅かったら。 私が、代わりに死ねば…。 「リーちゃん、多分、俺は死ぬかも。 いるかわからない。だけど言いたい。 世界で一番…愛してる。 俺は自分の責任で死んだ。 リーちゃんのせいじゃない。 間違っても自分が死ぬな、なんて 思うなよ。」 「マー君…。」 その言葉はずるいよ。 「私も…!!世界で…いや、銀河一 愛してる!」 「…嬉しいなぁ。」 「えっ…?」 そういったきり、貴方の目は何も 映さなくなって… 返事も返ってこなくなった。
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