過去

2/2
前へ
/10ページ
次へ
「戻る」 そう小さく心の中で言うと、 目の前が真っ白になって…マー君が 死んだ次の日になっていた。 私が過去にいる間、今の時間は動いていないのかな。 現状、出来ることと出来ないことを まとめようと思ったから紙に軽く まとめてみた。 “できること” ①過去に戻れる。 ②記憶を持ったまま未来に戻れる。 ③過去で違う行動をできる。 “出来ないこと” ①マー君ごと未来に連れてくること。 ②何度も過去と未来を行き来 出来ない事。 「どうしても助けられないのかなぁ。」 そう一人で呟く。 もしかしたらマー君に家にいて もらって私が家に行く? そしたらマー君の家には親御さんが いるしきっと守ってもらえる。 そうしよう。 そう思って心の中でまた、 「過去に向かう。」と念じて 過去に向かった。 目を開けると、マー君が死んで しまった4日前。 私が最初に海に誘ったのはマー君が 死んだ5日前。 まだ…誘ってないよね。 そう思ってマー君を探した。 「マー君!」 大きい声で呼びかけると彼はすぐ 私の方に来てくれた。 また会えたのが嬉しくて泣きそうに なるけどそんな事をしている時間は ない。 「今週の土日、空いてる?」 「えっ…?昨日リーちゃんが海に 誘ってくれたよね?」 「えっと…。やっぱマー君の家に 行っちゃ駄目かな?」 ちょっと変だったかもだけど そう誘った。 彼は笑って、 「いいよ。そうしよっか。」 と言ってくれた。 「私が9時くらいに着くように するからマー君は家から出ないでね。」 「いいの?迎えに行くよ?」 「大丈夫。そんなに弱くないよ。」 私はできるだけ笑顔を作った。 そうして、運命の日がやってきた。 『今から行くね。』 そうマー君に送ってから私は 家を出た。 マー君の家の前まで来た時、何か 異変を感じた。 マー君の、家族構成は両親、妹。 そうして長男にマー君。 4人家族なのに、不思議なくらいに 。 私はある考えが浮かんで直ぐに チャイムを鳴らした。 誰も家から出てこなかった。 返ってきたのは沈黙だけ。 私は開いていた窓から家の様子を 見た。 異臭が漂っている。 物は散らかって人の気配はない。 直ぐに警察を呼んだ。 警察は窓から家に入り直ぐに… ブルーシートを4個…担架に乗せて 帰ってきた。 私は物事を悪化させてしまったと 自分を責めた。 犠牲を増やした。 でも…こんな未来はもっと嫌だ。 私はまた未来に戻り、対策を 練った。 そうして何回も何回も…ずっと過去と 未来を行き来したけど、納得できた 未来はなかった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加