未来

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未来

波の音が聞こえてきた。 そうしてまた何度か来た海岸に 着いた。 いつもは誰もいない。 そんな静かな空間に独りだけ佇む。 でも今日は違った。 1人の女の子がいた。 しかも見覚えのある可愛らしく、 綺麗な女の子。 俺の最高の彼女がいた。 つい1週間前まで未来でも会って いたのに涙が止まらなくなって しまった。 無意識の内に声に 出してしまっていた。 「リーちゃん…?」 彼女は静かに振り向いた。 いつもと変わらない顔。 「リーちゃん…だよね。 どこ行ってたの?」 聞きたかったこと。やっとそれが 聞ける。 「…?」 彼女は不思議そうな顔をして 衝撃なことを言った。 「」 「えっ…?」 俺は驚いたがすぐに、 「真空。内野真空。 わかる?」 と聞いた。 「真空…。」 「ぁ…。」 静かに声がもれてしまった。 マー君…じゃない。 ある可能性が思いついて…でもその 可能性が合っていないことを望んで 聞いた。 「もしかして…記憶ない?」 「えっと… 多分、そうなんだと思います。」 「そっか…。」 俺は静かに立ち去ろうと思って リーちゃんから背を向けた。 泣いてしまったら困らせてしまうと 思ったから。 「でも!何か、貴方はさっき 初めて会ったのに心がフワーって、 暖まるような感じがしたの。 それと同時にね、一目惚れみたいな感情が出てきて多分すごい大事な人 なんだと思う。 違う…かな?」 俺は嬉しくなって、首が取れるんじゃないかってくらい頷いた。 そうして俺はある決断をした。 「そう。 俺にとっても大事な人なんだ。 …もしよかったら、これからも守らせてくれないか? 絶対守る。絶対、助ける。 ぜってぇ、幸せにする。」 そういうと、彼女の顔がパァッと 輝いて 「うん!」 と、満面の笑みで答えてくれた。 「宜しくね、マー君!」 「ぇ…?」 聞こえた懐かしい呼び方に、俺は 流石に我慢ができなかった。 俺の目から水が大量に零れ落ちて、 海になっちゃうんじゃないかって位、 溢れ出た。 「フフッ、泣き虫なんだから。 あ、真空くんだからマー君ね?」 その言葉が、付き合い始めたときの 言葉と重なった。 俺が告白に成功して思わず 泣いてしまったら、全く同じセリフを 言ってくれた。 「知ってるよ。」 俺はそう答えて、笑顔で手を握った。 久しぶりにちゃんと笑った気がする。 そうさせてくれたのは、やっぱり 君だった。 「愛してるリーちゃん。」 「私もだよマー君。 私はきっと2回目なんだろうな〜。 告白されたのも次にデート行くのも。 幸せ者だ。」 俺はその言葉が聞けただけで十分 だった。 「俺もだよ。 これからまた、2人で時を作って いこう。」 「もちろん!」 そうして2人で手を繋ぎ夕日に手を 伸ばした。
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