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善と悪 大学時代
不倫は法律で罰せられない。
不倫は家族に問題があるから。
相手から心が離れてしまったから仕方のないこと。
だから不倫してもいい。
遥はあの時、そう思っていた。
それが身勝手で許されない考えだと気付くのはずっと後のこと。
元々遥は優等生だった。
ごく普通のサラリーマン家庭で育ち、父と専業主婦の母、3才年上の姉、実里と4人で暮らしていた。
女友達からは、目鼻立がしっかりしていて可愛いとよく言われたが、高校時代までは男子に全然モテない日々を過ごした。
身長は平均的であるが、こちらも母親譲りの細身の体型で友達からは羨ましがられた。
県有数の進学校で真面目な友達ばかりだったので、高校時代に彼氏ができなかったことは何とも思わなかった。
勉強が一番で、第一志望の大学に合格することが最優先。
おしゃれや彼氏なんかは二の次。
そういうのは大学生になってから楽しめばいい。
彼氏なんていつでもできると思っていた。
そう思いながらも、彼氏のいる生活はどんなだろう?と密かに想像することはあったし、おしゃれして綺麗にメイクしている女性に憧れは抱いた。
地味で目立たなかった高校時代。
そんな高校時代を経て、念願の第一志望の大学に合格した時は人生で一番嬉しかった。
一人暮らしは両親から反対され、片道2時間の距離を通うことになった。
1年生の頃はまだ垢抜けず、男子から個人的なお誘いがかかることはなかったが、友達に恵まれて日々楽しい大学生活を送っていた。
2年生になると、遥とはタイプの違う少し派手目な麻友という友達ができ、メイクの仕方を教わり服の嗜好にも変化が生まれた。
その頃から先輩後輩問わず、男子から声をかけられることが多くなり、モテ期がきたのかなと遥は浮かれてた。
バイト先のおじさんにもチヤホヤされ、ある時既婚者のマネージャーに
「遥ちゃんなら全然有り!奥さんいても積極的にいっちゃおうかな!」
と言われた時は鳥肌がたったのだが。
通学が遠くて大変ではあったが、そんな生活が楽しくもあった遥。
楽しさとは裏腹に、大学生になったら自然に彼氏ができると思っていたのに、なかなかできない現実に直面した。
周りの友達に彼氏ができて、いろいろな話を聞かされる中、なぜ自分には彼氏ができないのか?悶々とする日も増えた。
自分が素敵だな、と思う人には相手にされず、好きではない人からはアプローチを受ける。
彼氏ができないまま3年生になり、遥は生まれて初めて一目惚れをした。
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