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回復期 I
今回の出来事は一生忘れることはできないだろう。忘れたいとも思わなかった。
それから二ヶ月。
遥の心は落ち着きを取り戻していた。
仕事が忙しかった為何も考えずに没頭していた。
今では毎日太一とLINEし、10日に一度位の頻度で会っていた。
太一が宣言した、正社員になる為の中途採用試験があと二ヶ月後に迫っていたそんなある日。
久しぶりに遠出がしたくなり、二人で動物園に出かけた帰りだった。
「遥、あのさ。」
太一は言い難そうにしながらこう聞いてきた。
「そろそろエッチできるかな?遥の身体が大丈夫ならしたいし、もしまだだったら口でしてもらうことはできる?」
先生からは、術後、最初の生理が終わったらしていいと言われていた。
この時もうとっくに終わっていたが、敢えて太一には言わないでいた。
言わなかった理由は
そんな気分になれない
それだけだ。
でも、太一との関係を続けていく意思が少しでもあるなら、このままずっとSEXしないという訳にはいかないことは分かっていた。
「うん。いいよ。ホテルに寄る?」
「遥、ありがとー。すごく嬉しい。」
こうして久しぶりにホテルに行くことになった。
太一は嬉しそうだった。
太一の笑顔を見ていたら、何とかなりそうな気がした。
抱き合うのは何ヶ月ぶりだろうか。
久しぶりに感じた太一の体温に、どこかほっとした気持ちになった。
太一は優しくしてくれた。
早く挿れたいはずなのに、大丈夫?痛くない?と何度も確認してくれた。
でも。
遥は濡れなかった。
全く気持ちが乗らなかったのだ。
結局太一のものを口で処理をし、それだけで終わった。
太一は終始遥の身体のことを気にしていて、口だけでも満足そうな様子だった。
申し訳ないと思いながらも、時間が解決するだろうと思っていた。
時間が経てば大丈夫
しかし、そんな簡単なことではなかった。
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