幸せとは I

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幸せとは I

太陽が話し終えると、隆弘が 「太陽のことを宜しくお願いします。」 と言って、頭を下げた。 「太陽、遥さんに出会えてよかったな。ご両親もとても素敵な方たちだ。今朝のことは内田さんがしっかり対応してくれるから、経過を見守ろう。今後警察に呼ばれることがあるかもしれないけど、みんなで乗り越えていこう。」 「ありがとう父さん。感謝してる。」 「遥さんも太陽も無事だったことが何より。でもその人、すぐに釈放されてまた同じことをしないか、それだけが心配だわ。例えば警察に警告されたって、会社まで来るくらいだから遥さんのことつけ回すんじゃないかしら?」 由美は心配そうに言った。 「それは俺も思ってた。前は興信所を使って遥の居場所を突き止めてあんなことしたから。本当は遥が仕事を辞めて、ご家族も引っ越すのが一番なんだろうけど。俺が未熟すぎて何もできないことが悔しいよ。」 そう言って、太陽は頭を抱え込んでしまった。 「そんなことないぞ、太陽。」 隆弘は言った。 「おじいちゃんが住んでたところ、覚えてるよな?あそこ、まだそのままにしてある。たまに母さんが様子を見に行って、掃除もしてくれてる。少し古い建物だがリフォームすれば住めるし、もし嫌だったら壊して新しく家を建てたらどうだ?遥さんのご家族も一緒に住めるように、二世帯にしたっていい。ここからもそんなに遠くないし、何かあったら助け合うことができるだろ?遥さんの仕事のことは俺が出来る限りのことはするから、申し訳ないが今の会社は辞めてもらった方が安全だと思う。」 「父さん。」 太陽は遥の父親と母親の顔を見ながら言った。 「父からの提案、考えてもらえないでしょうか。急にこんなこと言われても困ると思います。でも、安全には代えられないし、俺も安心して遥さんと結婚できます。」 「太陽君ありがとう。お父様もありがとうございます。少し考えさせてくれるかな?あと、結婚するまでのことなんだけど、もしよかった太陽君のところで遥を預かってもらえないか?さっき母さんとも話してて、こっちに帰ってくるのは危ない気がするんだ。遥に万が一何かあったら太陽君にも申し訳ないしな。」 「じゃあ、太陽のマンションは狭いし、色々決まるまではここに住めばいいじゃない。遥さんさえ良ければ。どう?」 由美が言った。 「ありがたいお話ですが、ご迷惑にならないでしょうか?太陽君のマンションでも少しの間なら何とか。どう思う?」 遥は太陽に聞いた。 「うーん。そうだな。本当は二人でいたいけど、色々決めるには少し時間が必要だから、ここに俺といてくれれば一番安心かな。もし俺がいなくても母さんか父さんがいるし。」 「わかった。では、お言葉に甘えてこちらでお世話になっても宜しいでしょうか。お気遣い本当にありがとうございます。お父さんとお母さんも心配してくれてありがとう。」 「大切なお嬢さんですから、責任を持ってお預かりします。」 と、由美はそう言って微笑んだ。 その後、遥の両親は何度もお礼を言って帰って行った。 「じゃあ、俺たちは荷物取りに行こうか?早い方がいいと思う。とりあえず俺のマンションに。」 と、太陽は言った。 「よかったら、家の車を使いなさい。車庫に入ってるから」 と隆弘は言って、太陽にキーを渡した。 「ありがとう。じゃあ遥行こう!」 遥は隆弘と由美に挨拶をして車に乗り込んだ。 車はレクサスだった。 「太陽、運転できたんだね!意外だった。」 遥が言うと、 「遥と付き合う前は、たまに週末に車を借りてドライブしてたよ。暇だったから。」 そう言って運転する太陽の横顔は綺麗で、つい見惚れてしまった。
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