襲撃

2/3
前へ
/16ページ
次へ
 北海道の中央にある、四方を山に囲まれた珠鳴(たまなり)村。  村長で父の大蔵(たいぞう)、兄の蒼太郎(そうたろう)。  妹で高校生の静花、そして明香音。    リビングには鈴守(すずもり)家の全員が揃っていた。  テレビの向こうで、リポーターの背後にエイリアンが現れた。  リポーターの首を切り落とし、脳を吸っている。  ゴミのように頭を投げ捨てた次の瞬間、エイリアンはカメラに向けて鎌状の腕を振り下ろした。  小刻みに震えていた映像は宙を舞ったあと、何も映さなくなった。  全国に向けた緊急放送の映像は、スタジオにも戻らない。 「きっと、アメリカが何とかしてくれる」 「何、言ってんだよ、親父! さっきの見ただろ!」  呟いた大蔵に、蒼太郎が噛み付いた。  必死にしがみ付いてくる静花の背中をさすりながら、明香音は不安そうに映像のないテレビを見つめた。  三十分前。  眠っていた明香音は、Jアラートの音で目を覚ました。  今まで聞いたことのない、不気味な音。  薄闇の中でスマホを手にすると、見慣れない文字に飛び起きてリビングに向かった。  そこで目にしたテレビの映像に、揃った家族の全員が息を呑んだ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加