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北海道の中央にある、四方を山に囲まれた珠鳴村。
村長で父の大蔵、兄の蒼太郎。
妹で高校生の静花、そして明香音。
リビングには鈴守家の全員が揃っていた。
テレビの向こうで、リポーターの背後にエイリアンが現れた。
リポーターの首を切り落とし、脳を吸っている。
ゴミのように頭を投げ捨てた次の瞬間、エイリアンはカメラに向けて鎌状の腕を振り下ろした。
小刻みに震えていた映像は宙を舞ったあと、何も映さなくなった。
全国に向けた緊急放送の映像は、スタジオにも戻らない。
「きっと、アメリカが何とかしてくれる」
「何、言ってんだよ、親父! さっきの見ただろ!」
呟いた大蔵に、蒼太郎が噛み付いた。
必死にしがみ付いてくる静花の背中をさすりながら、明香音は不安そうに映像のないテレビを見つめた。
三十分前。
眠っていた明香音は、Jアラートの音で目を覚ました。
今まで聞いたことのない、不気味な音。
薄闇の中でスマホを手にすると、見慣れない文字に飛び起きてリビングに向かった。
そこで目にしたテレビの映像に、揃った家族の全員が息を呑んだ。
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