襲撃

3/3
前へ
/16ページ
次へ
 しばらくして、真っ黒な画面に映像が戻ってきた。  毎朝、テレビで見慣れている顔が映った。  北海道のローカル放送に切り替わったようだ。  攻撃を受けた関東一帯は、ほぼ壊滅状態だと伝えられた。  未確認飛行物体と地球外生命体は、関東からそれぞれ北と南に分かれて侵攻を始めているらしい。  テレビの向こうでは、安全な場所への避難を呼び掛けている。 「安全な場所って……。お父さん、ここは大丈夫なの?」 「いくらなんでも、こんな田舎までやって来ないだろう」  明香音が訊くと、大蔵はため息混じりに言った。 「ここまで来ないなんて、よく言えるよ。相手はエイリアンだぞ!」  蒼太郎が声を荒げた。  外国が攻めてきたのとは、わけが違う。  相手は、何を考えているのかも分からないエイリアンだ。  さっきの映像を見る限り、大きな施設はことごとく破壊され、手当たり次第に人を襲っていた。  突然、静花が泣き出した。 「大丈夫だよ、静花。お姉ちゃんが守ってあげるから」  明香音がなだめると、静花は怯え切った顔を上げた。 「でも……」 「大丈夫、きっと大丈夫だから」  明香音は自分にもそう言い聞かせながら、テレビを見つめた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加