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しばらくして、真っ黒な画面に映像が戻ってきた。
毎朝、テレビで見慣れている顔が映った。
北海道のローカル放送に切り替わったようだ。
攻撃を受けた関東一帯は、ほぼ壊滅状態だと伝えられた。
未確認飛行物体と地球外生命体は、関東からそれぞれ北と南に分かれて侵攻を始めているらしい。
テレビの向こうでは、安全な場所への避難を呼び掛けている。
「安全な場所って……。お父さん、ここは大丈夫なの?」
「いくらなんでも、こんな田舎までやって来ないだろう」
明香音が訊くと、大蔵はため息混じりに言った。
「ここまで来ないなんて、よく言えるよ。相手はエイリアンだぞ!」
蒼太郎が声を荒げた。
外国が攻めてきたのとは、わけが違う。
相手は、何を考えているのかも分からないエイリアンだ。
さっきの映像を見る限り、大きな施設はことごとく破壊され、手当たり次第に人を襲っていた。
突然、静花が泣き出した。
「大丈夫だよ、静花。お姉ちゃんが守ってあげるから」
明香音がなだめると、静花は怯え切った顔を上げた。
「でも……」
「大丈夫、きっと大丈夫だから」
明香音は自分にもそう言い聞かせながら、テレビを見つめた。
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