たまゆら様

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たまゆら様

 午後。  エイリアンの侵攻は、北海道にまで達していた。  アメリカや諸外国からの応援がまだない中、テレビは再び何も映し出さなくなった。  エアコンも止まっている。  停電だ。  スマホも使えなくなると、村中は不安に包まれていった。 「村長、大変だ!」  鈴守家に村人達が駆け込んできた。  大蔵に続いて、明香音達も玄関に向かう。 「あれを見てくれ!」  村人が空を指差した。  南の山の向こう、雲一つない空に無数の黒い球体が浮かんでいる。  映像で見た脅威が、すぐそばに迫っていた。  あの山を越えられたら、この村も無事では済まされない。  目にした異様な光景に、明香音達は言葉を失った。 「やつら、ここまで来やがった。村長、どうする?」 「これは、にお願いするしか……」 「そうだ! たまゆら様!」 「たまゆら様、お願いします!」 「助けてください、たまゆら様!」  村人達の目が明香音に向けられた。
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