襲撃

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襲撃

 朝焼けの中、関東上空に無数の巨大な黒い球体が現れた。  球体が放った閃光(せんこう)で、高層ビルや大型施設は一瞬でガレキと化した。  低空飛行を始めた球体から、次々と何かが地上に降り立ってくる。  体長二メートルほどの黒い体。  骨張った細い体を覆う、鎧のような鱗。  逆三角形の頭。  顔の正面から横にかけて張り出した大きな目。  六本の長い手足。  左手は鋭い爪の三本指で、右手は大きな鎌状になっている。  (ふし)のある四本の足で立つ姿は、虫型のエイリアンだった。  エイリアン達は、逃げ惑う人の首を腕の鎌で切り落とした。  わしづかみにした首の断面に、丸い口から長い管のような舌を突き刺している。  脳を吸っているようだ。  人類史上、類を見ない厄災。  すぐに自衛隊が出動したが、球体から放たれる閃光で戦闘機も戦車も鉄くずと化していく。  エイリアン相手に銃撃戦を試みても、鎧のような皮膚には弾も通らない。  破壊されていく街並み。  捕食される人間達。  テレビでは、目を疑うような中継映像が流れている。 「嘘でしょ。何……コレ?」 「お姉ちゃん、怖い」  明香音(あかね)が呟くと、静花(しずか)がしがみ付いてきた。
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