宮田吾作

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宮田吾作

 漫画雑誌ゴロゴロコミックを読み終わった僕は、となりの級友鈴木に話しかけた。 「宮田吾作のマンガ、面白いなあ」 「宮田吾作?」鈴木は言った。「あれは宮田吾作じゃない。宮 田吾作だ」 「宮 田吾作?」僕は笑った。「アハハ。そんなわけあるかい。宮田吾作だよ。宮田吾作」 「いいや。宮 田吾作だ」 「宮田吾作だ」 「宮 田吾作だ」 「よおし」僕は躍起になった。「編集部に電話かけて訊いてみようぜ。いくら賭ける」 「千円」 「千円。よおし、乗ったあ」  出版社に電話をかけ、ゴロゴロコミックの編集部に繋いでもらう。 「もしもし」 「はいはい」 「あのう、〈釣り天才・長吉〉を描いている漫画家の先生、なんという名前ですか。宮田吾作ですか?宮 田吾作ですか?」 「ああ、あれね」  編集部員はしれっと言った。 「宮 田吾  作ですよ」
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