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壱
大将軍李亮が北方の異民族・兇に投降した。
その衝撃的な報せは瞬く間に都中を駆け巡り、皇帝の耳にも届いた。
皇帝は大激怒。
敗北という失態を犯したのは許すとしても、皇帝のために戦い皇帝のために死すべき武官が命惜しさに賤しき他国に降るのは反逆と同義だというのだ。
少数で圧倒的多数を迎え討つ不利な戦だったこと、戦線で裏切者が出たこと、指令官たる李亮が気絶させられ敵に捕らえられたこと。このように、仕方のない面もあるという事実は、一切考慮に入れられなかった。
皇帝は李亮を罪に問うた。一族も連座で処罰するとし、捕縛の命を下した。
こうして、誉れ高き武の名門・李家は忽ち瓦解することとなる。
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